気まぐれ姫と孤独な狼

一節~気まぐれなお姫様~

「う、遅刻…!」

バタバタと家の中を駆け回る少女が1人。

少女の名は長月 海春(ながつき みはる)。高校二年生、17歳である。

海春は、母と父が転勤のため、新しい高校に転校することになったのだ。

それにしてもこんな時期に転校なんて、おかしいと思われるだろうか。

そんな不安を微かに抱きながら、海春は家を出た。

玄関で靴をしっかり履いたあと、ふと隣の家の札が目に止まった。

『咲狼』と書かれた札を見て、海春は首を傾げる。


「さきろう?…さく、ろう?それかおおかみかな?」

そう言ってふと時計を見ると、もう行かなければならない時間になっていた。

「いっけね、遅刻遅刻…!」

一言呟き、高校へと足を進めた。




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