エリート弁護士と婚前同居いたします
「茜は俺をいつ好きだって思ってくれたの?」
「ええっ!? そ、そんなのわからないよ!!」

 慌てる私。それでも彼は追及の手を緩めない。
「いつ気づいた、でもいいけど?」
 至近距離に迫る凄絶な色気の漂う顔立ち。その距離に慌ててしまう。恥ずかしすぎて横を向けない。
 いつから、なんて! 考えたこともないのに。自分の気持ちを確信したのだってつい最近なのに。

 初めは苦手でなんて失礼な人だろうって思ってた。私の領域にズカズカ踏み込んできて言いたいことを言って。私の気持ちなんてお構いなしに色々なことを強引に押し進められて腹が立った。それなのに彼に惹かれる気持ちは抑えられなかった。

 きっと自分で気づくずっと前から、彼を好きだったんだと思う。そのことを出会ってからの時間が短いとか理由をつけて誤魔化していただけで。ぐるぐる考えを巡らせて真剣に考え込む私を見て、ブハッと彼が噴き出す。

「真剣に考えすぎ。冗談だよ、茜」
「えっ!!」
 その笑い声に驚いて彼を見る。
「わかってるからいいよ。茜が俺を好きになってくれた、その事実だけで十分だから」

 甘い笑みを浮かべて彼が私の頬を長い指で撫でる。彼氏になってもやっぱり彼のペースに私はのみ込まれている。

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