ラブレター
ラブレター


あゆみへ


学生の頃はシャーペン握ってそれなりに文字を書いていたけど、卒業してからはそれもなくなって、正直漢字が分からねぇ。「漢字」って漢字も分からなかった。辞書片手に、初めて手紙を書きます。所謂、ラブレターってやつです。

母さんに「辞書持って来て」って頼んだら「やっと真面目に勉強する気になったのね!」って大喜び。いや、漢字が書けないだけなんだけどね。これは一瞬で変換してくれる携帯やパソコンが悪いね。

この手紙は、あゆみとデートしたあとで書いてる。
水族館、楽しかったな。水族館なんて小学校の遠足で行って以来だったけど、相当楽しめた。あゆみと一緒だったからかな。

こんなに楽しい場所なのに、閉館なんて寂しいよな。閉館前にもう一度行きたいけど、行けるかな。それよりもっと別の場所に行くほうがいいかな。遊園地とか美術館とか。山のぼってみたり? 遊覧船とか乗ってみたり? 天文台も捨てがたいし、温泉も行きたい。県内に有名な温泉地がやまほどあるのに、行かないのはもったいないよな。

ああ、市内にすごく低い山があるの知ってるか? 数歩でのぼれちゃう山。あそこなら明日にでも行けるな。

あゆみとやりたいことがたくさんあるんだ。何百、何千、何億個もあるんだ。時間足りるかな。



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