恋駅

年下わんこに振り回されて



翌日。


今日は普段通りに起床。


ある程度時間に余裕を持ちながら
家事をこなしてご飯を食べて
駅までの道のりを歩く。


人がわんさかいる朝の駅のホーム。


簡単には見つからないと思うけど
今日もあの男子高校生はいるのかなって
ちょっぴり警戒。


辺りを見渡しながら
柱の陰に隠れるように立ち
電車が来るのを待つことにする。


いや、まぁ別にさ?

わざわざ隠れたり逃げたり
避けるような真似を
しなくてもいいんだろうけど

いざ会っちゃったら
どうしたらいいのかわからないし
やぁ、昨日ぶり!……なんてテンションは
絶対に無理。


だから……私は影!透明!
存在してません!

ってことで、
自分の気配をできる限り消す……

うん、どうやったら
そうできるのかわかんないけど
私は空気、空気…………。



「あ!!おはようございます!!」


「………ひゃあっ!?」



後ろからトン、と肩を叩かれ
ギョッと飛び上がる。


覚えのある声音。


恐る恐る振り返れば



「び、ビックリさせてすみません……!
何、してたんですか?」



嬉しそうにニコニコ、キラキラ。


眩しいくらいのまん丸の目。



「い、いや……別に?」



昨日の、男子高校生。

あなたから隠れてたんです、
なんて言えるわけがない。


しかもどうして、これだけ人がいる中で
こんなにも簡単に
見つかってしまったのだろう。

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