君と永遠に続く恋をしよう
しまった…と思ったが既に遅く、彼女とすれ違う様に入ってきた母親に、「騒がせてすみません」と謝った。


「どうも飲み過ぎてしまって。お父さん、大丈夫ですか?」


帰る前にそれを確かめておこうとすると、母親は平気ですよ、と笑った。


「あの人、桜庭さんと飲めて本当に嬉しいんです。
私達は賢也を急に亡くしてしまって、ぽっかりと心に穴が空いたような毎日を送っていましたから。
貴方がお父さんと一緒に飲んでるのを見ると、まるで賢也が其処にいるみたいで嬉しいし、だからあの人もお酒が益々進んで、なかなか止められずに飲みすぎてしまったんだと思うんです。

貴方にはご迷惑をかけてすみません。…でも、良かったら是非ともまた、この家に遊びに来て下さい。
私にも綺麗なお土産を下さって本当にありがとう。あれを見ているだけで心が凄く明るくなります」


そう誉められると自分がしたことが余計に情けなくなる。
俺は帰る前に賢也の遺影に参り、頭を深く項垂れて「無様なことをしてごめん」と謝った。


顔を上げると彼は微笑んでいた。
改めて、「手を出したんたから頼むぞ」と言われているような気がして、「ああ、必ず」と小さく囁いて頷いた。


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