皇帝陛下の花嫁公募

 なんの話か判らないが、エアハルトが疑わしい眼差しでリゼットを見上げてくる。

「だから、なんの話なの?」

 少しくらい教えてくれてもいいじゃない。せめてヒントだけでも。

 リゼットが腹立たしげにアンドレアスを見ると、彼は苦笑して、指差した。

「あっちの裏庭にある。行ってみるかい?」

「もちろん行くわよ!」

 アンドレアスとの間に秘密はないと思っていたが、そうではなかったらしい。もちろんエアハルトが絡んでいるのだから、深刻な秘密ではないのは判っている。それでも、やはりアンドレアスが知っていることはリゼットも全部知っておきたかったのだ。
< 261 / 266 >

この作品をシェア

pagetop