皇帝陛下の花嫁公募
 アンドレアスは兵士を平等に扱っている。自分は彼らを指揮する立場ではあるが、彼らと一緒に同じ飯を食べ、剣や銃の腕を競い、身体を鍛えている。

 だからこそ、衛兵をその辺の置物のように無視する娘より、同じ人間として接してくれた彼女に心を惹かれるのは当たり前のことだった。

 花嫁公募など、最初は冗談で口にしたものだったが、今になってそれは正しかったのだと思った。

 公募とは名ばかりの、上流階級の娘ばかりが集まったが、それでもあのような娘がいた。

 辺境国の王女など、普通なら皇帝の花嫁候補に入ることはないからな!

 アンドレアスはすっかり上機嫌になっていた。

 あの娘ならば結婚しても構わない。

 だが、もっと彼女のことを知りたい。彼女には王女らしからぬところがある。本当に王女なのかという疑問もある。

 替え玉ということはあり得るのか……?

 そんな可能性も考えつつ、アンドレアスはもっと彼女を探ることにしてみた。

 エリーゼティア・ミーゼン・メル・アマーナリアだったか。

 彼女は普段なんと呼ばれているのだろう。エリーゼティア姫だろうか。アンドレアスは再び彼女に会える日を心待ちにしていた。
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