皇帝陛下の花嫁公募
第四章 花嫁試験
 花嫁試験のため、リゼットはナディアを連れて宮殿に向かった。

 母妃は一緒に来るつもりだったらしいが、アマーナリアの存在すら知らない輩に、これ以上、王妃が辱められるいわれはないと思ったのだ。この間一緒だった女官は元々、母妃付きの女官だったので、リゼットはナディアと行くことを希望した。

 ナディアがいれば心強い。辱めを受けようとも、平気でいられる。やはり母妃を侮辱されることだけが、リゼットは嫌だったのだ。

 護衛も来なくいいと言ったのだが、それはさすがに許されなかった。どうせ宮殿に入ったら、別々になるのだろうから、あまり意味はないと思うのだが、母妃がそれで安心するのならと一緒の馬車に乗り込む。

 門番が門を開き、馬車は宮殿の前に停まった。

 そして、以前と同じように迎えの女官がいて、護衛と引き離され、別室へと連れていかれる。
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