不器用な彼女
結婚なんて、まだ考えてないけど…年齢的には考えても良いし、早々に結婚して子供まで居る友達もいる。。。
母親なんて21歳で授かり婚してるから、「詩織もそろそろ…」なんて結婚を勧めたりする。

「木村、結婚したけりゃ仕事しろ」

「しますよ、します〜」

「仕事残して辞めてみろ? ドレス着たまま引きずってでも連れ帰るからな」

「わ…鬼発言…」

「当然だ」

社長ならやり兼ねないと思いながら、相変わらずの社長と一美のやり合いを聞いていた。

「詩織、パースのペース上げろ。来週から新規もう一件入るから。
結婚式、平日だし当然会社閉めるから、図面も材料発注も絶対間違えんなよ?」

「“詩織”だってぇ〜❤︎」

詩織が「はい」と返事をする前に一美が茶化す。
最近は会社でも“詩織”と呼ばれて、少しくすぐったい。

「木村、茶化すな。退職金20%カットな」

「やめてー!」

慌てる一美を見て、社長は意地悪そうに笑った。
あと2週間で一美が退職するそうだ。こんなやりとりも見られなくなると思うと…やっぱり寂しい。

詩織はちょっと泣きそうになったのをグッと堪えてパソコンに向かった。


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