不器用な彼女
「うるせぇなぁ…」
社長が不機嫌そうに目覚める。
「しゃ、しゃちょ…何で…」
昨夜の記憶は途中からない。
断片的にしか思い出せない。
「しゃちょ…私は…どうして…こんな格好…////」
酔っ払って記憶を失くすなんて初めての失態。
ついでに“酔った勢い”なんて言語道断!
(私のバカバカバカ!)
「ん…いい眺め。お前、意外と胸デカイのな。
まさか…昨日の事、覚えてないのか?」
「どこみてるんですか!」
「お前が勝手に見せてるだけだ」
社長を覆っていた布団を剥ぎ取る。
「寒いじゃねーか!」なんて社長は慌てているけど、慌てているのは私だってば!
こんな格好を見られるなんて!恥ずかしすぎる!
自分が何をやらかしたのか…想像するのも恐ろしい。この世の終わりのような顔をしている詩織。
「被害者みたいな顔するなよ?
お前が襲撃してきたんだからな?」
社長はそう言うと大きな溜息を吐いた。