不器用な彼女

自分の気持ち

今日も定時で帰れる。

社長は「暇だー」「会社潰れるー」「給料払えねー」なんて言いながらも一人忙しくしているように見える。

「詩織チャン、可愛い格好して…今日はデート?」

「…相手がいませんよ! 友達と映画です!
一美先輩こそメイクなんて直しちゃってデートですか?」

「デートって訳じゃないけど、今日は約束があるんだ♪」

何だか一美はウキウキしてる。頬にクルクルとチークなんて塗ったりして。

「じゃあまた明日〜」「お疲れ様でした」といつもの挨拶を交わし事務所を後にした。








「詩織〜!」

息を切らして尚美が走ってきた。


「ごめん、バス乗り遅れた。遅くなってゴメン」


今日は久し振りに映画を観ようと会社近くの映画館で待ち合わせをしていたのだ。


「ううん、時間はギリギリ大丈夫。チケットもポップコーンも買っといたよ。行こ行こ!」

「ん〜、詩織ちゃん!好き!」

キスをせがむような尚美をスルーし映画館のゲートを抜けた。


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