明治、禁じられた恋の行方
ふらふらとした足で、千歳は家への道を歩く。

私はなんてことをしてしまったんだ。
晴成は麗斗を座敷牢に閉じ込め、そこから出さない気だろう。
一体いつまで。

諦めていない麗斗の目を思い出し、自身を抱き締める。

「麗斗・・・」

助けたい、でも自分には何の力も無い。
情けなくて情けなくて涙が出そうになるのを、唇を噛んで耐える。

その時だった。

「姉様!!姉様・・・!!」

向こうから冬璃が泣きながら走ってくる。

それは、母の死を知らせるものだった。
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