明治、禁じられた恋の行方
私は遊郭に売りに出されるしかないだろう。
一生かかっても出てこれないかもしれないが、私だけなら、もう、それでいい。

でも、園池の家には、母と弟が残っている。
母は実家に身を寄せられるだろうか。
父が連れていかれてからというもの、母は寝込んでしまっている。

弟は。
男とはいえ、好き者の家に売られるかもしれない。

それは耐えられない。



ふらりと、家から外に出る。
もう頼りに出来る所なんてない。
いや、あそこは頼りにしてはいけない。

そう、わかっているのに。

足が自然とそちらに向いてしまっていた。


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