タイトル未定
「ふぅ……。」

全然急ぐ必要もなく、始業の15分前には到着した。

(朝から無駄な体力使った……。)

そんなことよりも、方向音痴に自信のある私は、この裏門の駐輪場から無事に自分の教室へたどり着けるのかがまず不安だ。
今日から通う、川橋工業高校は、橋工と呼ばれている数少ない工業高校の一つだ。
校長室や事務室、図書室などがある本館。
生徒が普段使う教室がある普通棟、化学室や社会科室などがある特別棟。
主に建築科の生徒、職員と音楽室、美術室を利用する生徒が出入りする建築棟。
主に土木科の生徒が出入りする土木棟の4つの校舎。
さらに、工業高校ならではの機械科・電子機械科の生徒が使用する機械棟と機械科実習棟。
電気・電子機械科の生徒が使用する電気棟。
そして、建築科の生徒が使用建築工場。
さらに体育館、武道館……とまあ、たくさんありすぎて迷子になる生徒がちらほらいるとかいないとか。

私は全日制に通うが、橋工は機械科のみ夜間もあるため、夜間の生徒のための給食室なんかもあったりする。

と、そんなことを思い出している暇はない。
早く教室に行かなければ。


入学式はもう済んでおり、その時にクラス、番号、教室は教わっている。
とりあえず教室を目指す。

2階の昇降口でクラスの下駄箱に近づくと、誰かいた。
とりあえず、この人についていけば迷わずに教室にたどり着くだろう。
急いで学校指定のスリッパに履き替えて後を追った。



階段を上り右へ曲がったら真っ直ぐ進むだけ、と言うとても簡単な場所に目的の教室はあった。

(なーんだ。こんなに簡単だったんだ。)

これなら明日からも迷わずに済みそうだな、とのんきなことを考えながら教室に入った。

始業10分前ではあるが、まだぽつぽつと来ていない人がいた。
黒板に書かれた自分の座席を確認し、席に着く。
当たり前だが、中学の頃とは違い男子が多い。
しかし、思っていたよりも女子がいるので少し安心だ。
先生の話によれば、今年は建築土木科の生徒は男子が60人女子が20人と例年に比べ女子の数が10人ほど多いと言う。
建築土木科は2クラスに分かれており、私たちKAと隣のKB。
それぞれに10人ずつ女子が分かれているらしく、私は運良く同じ中学出身の河原桃奈(カワハラ モモナ)と同じクラスだ。

「ももさーん!おはよ!」
「あ、えりさん、おはよー。」

ももさんはすごく美人で私よりも10センチほど背が高い。
細身でスラッとしていてスタイルが良く、運動もできる。
中学の頃はバレー部に所属していた。バレーは小学校に入る前からやっていた、と言っていたような気がする。

とにかく美人なので、高校で変な虫がつかないようにと中学の時のいつものメンバーで話していた。

「やっぱり男子多いね。」
「ね。まあ、あんまりあたしは気にならんけどねー。」
「ももさんが心配だわー笑」
「何言ってんの笑」


なんていつもみたいに話していると、始業のチャイムと共に先生が教室に入ってきた。
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