私の好みはクズなんだってば。
「よかったー、間に合った。里崎も実咲もまだ来てないか」

どうやら私が一番乗りだったらしい。暇なのでTwitterでも見るかとスマホを取り出し眺めていると、「笠原さん?」と誰かに呼びかけられた。反射的に顔を上げると、陸上部の王子様がこちらに歩いてくるのが見える。

「…なんで寒川がこんな所に。」

「里崎に誘われて。笠原さんも来るんだよね?」

「え、ええまあ…」

「よろしく、あんまり喋ったことないけど」

笑顔で手を差し出される。よく分からないままにとりあえず握手をする。寒川が来るとなれば、まぁ実咲は喜ぶだろう。ていうかもう私は放ったらかしにされそうだ。なんだその飲み会。後で里崎をしばこう。

寒川とふたりで特に話すことも無く気まずく待っていると、やっと部活が終わったのか里崎が走ってきた。

「2人とも待たせてすまん、実咲には先店行って貰ってる」

「そうか、了解。じゃあ行こうか」

「そ、そだね」

里崎を引っ張って耳元に口を寄せる。

「里崎、寒川が来るとか聞いてないんだけど」

「イケメン二人連れて飲むとか豪華だろ?そう文句言うなよ」

「いや私寒川とそんな喋ったことないし、てか今お前自分のことイケメンって言ったなうざ!」

「事実だろ」

こそこそと里崎と言い合いを続けている間に店に着く。ドアを開けると実咲がこっちを向いて笑顔で「凛ー!こっちー!」と叫んでいたが、後ろに続く寒川に気付くと顔を赤らめて急にしおらしくなった。

席に近づくと実咲に小声で「ちょっと凛、どういうことか説明説明!!!」と問い詰められるが、どういうことも何も私もよくわかってない。

ドリンクが運ばれてきて、里崎がグラスを持つ。

「今日は何となく寒川と喋ってたら連れてくる流れになりましたー、まぁ細かいことは気にせず飲め!乾杯!」

こうしてこのいつもとすこし違う飲み会が幕を開けたのである。
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