夏が残したテラス……
 朝の客が居なくなり、残り物を皿に乗せテラスへ運ぶ。

 いつもの、遅い朝食。

 椅子に座ると、どっと疲れが出る。

 何なんだろう? 

 このイライラする感覚は… 

 それに、胸が苦しくて仕方無い……


 トーストにバターを塗りかぶりつく。

 いつもなら幸せのひと時なのに、口の中に入ったト―ストとをなかなか飲み込む事が出来ない。


「はあ―」


 思わず大きなため息をついてしまった。

 妹みたいと、言った由梨華の言葉が何度も頭をめぐる。

 別にいいじゃないか? 妹だってと、何度も言い聞かせるのに。


 なんだろう? 

 この違和感は……


 それに、まだ、彼女じゃないってどういう事? 

 頭と気持ちが混乱しているみたいで追いついていかない。

 
 テラスに立ち海を見る。


『ねえママ。私、何にこんなにモヤモヤしているんだろう? 自分が自分じゃないみたい……』
< 20 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop