蒼い月と紅の灯火

流石に夕焼けが見えたので起き上がる。




「夕飯、作らないと」




働かない頭を動かしながら夕飯を作る。
このあとに風呂も入らなければいけない。




終わりが迫ってきているとわかっているからこそ辛い。
時間が過ぎていくのがよくわかるから。




別れの時間が近づいてくるということに。




「蒼兎ー! ご飯作ったから、食べるだけ食べて」




奥の部屋に声をかける、すると……。




「わかった、ちょっと待って」




返事が帰ってきた。
てっきり無視されるかと思ってた。




だからとても嬉しかった。




(食べてくれるんだ!)




少しすると、蒼兎が部屋から出てきた。




ちょっとだけ見えた目元が赤いのは見間違えなのかな。




「食べて! 豪華にしたんだよ!」




「うん、朱里は本当に料理がうまいね」




「えへへ!」




蒼兎が自分の作った料理を食べているのをじっと見つめる。




「朱里、流石に食べづらい」




「ご、ごめん!」

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