明日を生きる君達へ

別れと灰色の空

私達は電車を乗り継ぎLaLaに着いた。
「まずは、rennoで服見てー…その後は雑貨屋にGO!!」
春歌が楽しそうに言った。
「クレープも忘れないでよ?」
「分かってるって!」
そしてLaLaに入った私達は、rennoというファッションブランド目指して歩き始めた。

「やっぱオシャレな服ばっかだねぇ……。」
そうなんだよな、と私は思う。LaLaには小さい時からよく来ていたから、rennoの服を見ることも少なくなかった。見る度に、私には似合わないだろうな、と感じていた。
「あ!これ!」
春歌が1着の服を手に取った。
「これ、絶対零に似合うよ!」
「え!?いやいやこんなオシャレな服、私には似合わないよ!」
「あたしが言ってるんだから、間違いないって!ほら、試着試着!」
そうして私は、半ば無理矢理試着室に押し込まれた。
「絶対似合わない……。」
白の生地を、所々黄色やピンクの刺繍で彩った襟付きシャツ。The・大人の春って感じのその服は、どう考えても私に向けられた1着ではない。
「どう?着れたー?」
「うん、着れた。」
「開けるよ?3、2、1、オープン!」
試着室のカーテンを開けた春歌は、私の事をじっくりと眺め、たっぷりと間を開けてから、口を開いた。
「すっっっごく似合ってる!ほらね?あたしの目に狂いは無いのよ!」
「そ、そうかな?」
春歌に自信満々にそう言われて、自分でも、ちょっと似合ってるんじゃないかと思えてくる。
「あたし、これ買うよ!」
そう言って、春歌は水色と黄色のコントラストが綺麗な、肩にフリルの着いた半袖の服を見せた。春歌のためにあるような1着だった。
「どう?良さげじゃない?」
「うん!似合うと思うよ!私もこの服買うね。」
そうして、二人とも服を買って、今度出かける時に着よう、と約束した。

「きゃー、可愛い!ね、零、これお揃いで買わない!?」
春歌は雑貨屋で売っている猫のキーホルダーがすっかり気に入ったようだ。私も好きなデザインだったから、満場一致で買うことにした。

そして、一通り店を回ったところで、クレープ屋に行った。
春歌はチョコバナナのクレープ、私はイチゴとホイップをたっぷり使ったクレープを頼んだ。
「零ってホント甘党だよねぇ。」
「春歌に唯一勝てるところかな。」
なんでやねん、と関西人のようなツッコミが飛んでくる。
「零の方が髪綺麗じゃん!」
「そうかなぁ?まぁ髪は女の命って言うしねー。」
その後は、1組に帰国子女がいるらしい、とかめっちゃ怪我してる子がいた、とか言う話をしながらクレープを食べ終わった。

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