幼なじみの優しい彼
「海(カイ)くんのことが、好きなの。付き合ってください」

「ごめん、俺、あんまり君のこと知らないから」

「じゃ、じゃあこれから知ってもらえませんか?付き合ってる人いないんだよね?」

「・・・」

困ったように黙る海は端正な顔を曇らせる。

告白した彼女は、わたしの方からは顔が見えないけれど、可愛らしい声だ。

放課後、空き教室に呼びだされた幼なじみの海が心配でたまらなくて、私はこっそり中を伺っている。

こんな盗み聞きなんて、ほんとはしたくてしてるわけじゃないけど。

だっていてもたってもいられなかったから。

私の大好きな人が、明らかに告白されるために呼びだされるのを、ただ指をくわえてみてられなかった。
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