死にたがりティーンエイジを忘れない


血の赤を見るのが日常になった。

どうしても引っ掻いてしまうニキビ。

手にした文房具で衝動的に付ける傷。


部屋の隅でほこりをかぶったケースを開けてギターを出してみると、弦が錆びて切れていた。

キザギザした弦に傷口を押し当ててみる。

痛みが皮膚の内側にザックリと入り込んできた。

それが気持ちよかった。


受験の合格祝いで買ってもらったプレステ2で、テイルズオブシリーズや『ドラゴンクエスト7』をした。

誰もいない昼間、延々とやり込んだ。

ゲームのレベルが上がるのと反比例して、勉強の仕方がわからなくなっていくみたいだった。


どんどんいびつになっていく自分の中身を埋めるために、黒々とした言葉の連なる小説をひたすら書いた。


小説の中でわたしの代わりにわたしの言葉を語ってくれる誰かは、わたしに似ているときがあっても、わたし自身よりずっと愛しい存在だった。

彼らを殺さないために、あるいは美しく死なせるために、わたしは書くことをやめなかった。


文芸部誌の原稿は、毎号きちんと提出した。

だって、わたしには書くことしかないんだ。

書いても書いても足りなくて、表現したい世界を作るにはわたしはまったくもって未熟で、それが悔しくてまた生きている。


表現できたら、死んでもいいや。


そんな毎日だった。

高校一年生のころのことは、記憶が乏しい。


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