雨のち晴れ


それは終業式の日に起こった。

式も終わり、みんなが楽しそうに帰って行く中、私はみんなが帰るのを待っていた。

もうみんなとは会いたくないから

私はそう思い、1人、建物の影に隠れながら座ってた。

すると、数人の男女の声が聞こえてきた。

その子たちは大きな声で話をしている。

別にこの人たちの話に興味はないから無視していよう

私は見つからなそうな場所にそっと移動した。

まぁ、どうせ私の悪口でも言いに来たんだろう。

「ねぇ、美琴まじなんなの?太陽くんと仲良くしててさ」

やっぱり

しかもこの声はいつもの5人組の声だ。

「いや、太陽も太陽だろ」

「まぁな。俺、あいつのそういうとこ嫌いだわ。偽善者的な?」

「それに女子人気あっていらつくし」

自分の悪口を言われるのは慣れている。

けれど、太陽のことを悪く言われるのはなんかいやだ

「そんなに太陽くんのこと悪く言わないでよ~私、太陽くんのこと好きなんだから~」

「なんかショックだわ」

「というか美琴が私と太陽くんの邪魔になってるのよ~」

別に邪魔をしているつもりはない

「美琴と晴馬の話をすればいいんじゃない?」

やだ......

太陽には知られたくない

なんでだろう?

今までこんなに強く知られたくないと思ったことはなかった

太陽がいつも近くにいて、その彼が急にいなくなるのが怖いから?

みんなから好かれている太陽が敵になるのが怖いから?

それとも単純に嫌われたくないから?

太陽のことが好き......だから?


< 17 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop