雨のち晴れ

太陽は驚異的な回復力を見せ、予定よりも早く退院
できることになった。

今日は退院日、そして夏休み最後の日だ。

今は病院の帰り道。

9月と言ってもまだまだ暑い。

私たちは病院の帰り道を2人で歩いていた。

「あーあ、太陽のせいで夏休み終わっちゃったよー」

そう、私は意地悪を言うように呟いた。

そんな私に太陽は

「悪かったな」

と、不機嫌そうに言った。

「もう、やれることないよー」

わざとらしく言って、太陽を見る。

太陽は不満そうな顔をした。

「はぁ......」

夏休みが終わってしまったという寂しさが私の心の中で膨らんだ。

高校最後の夏休みはあっという間に終わってしまった。

私のJK生活最後の夏休みが......

そんな風に私が落ち込んでいると

「いや、まだやれることはある!」

そう言って太陽は突然、私の手を握り走り始めた。

「ちょっと、どこいくのよ!怪我だって完全に治ったわけじゃ......」

「いいから、ついてこい!」

「いや、ついてくも何も、あんたが.....」

「急ぐぞっ!」

「ちょっ」

太陽はどんどん加速していく。

速い!速いって!

走る速さが半端じゃない!

「止まって!」と言いたかったがついていくのに精一杯で声が出なかった。

太陽は私の気などおかまいなしに、無邪気に笑っている。

もう......

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