私は強くない
人事部に戻った私に、都築課長が声をかけてきた。

「お疲れ、どうだった?」

「あ、お疲れ様です。まぁなんとか。やりきりました」

「そうか。よかったな。メシ行くか?」

「はいっ!」

私は、都築課長と食事に出た。
食堂でもいいけどな、と言いながらも都築課長は話があるからと、外に出た。

いつも名取と行くんだ、と言ってお寿司屋さんに連れて行ってくれた。

「…で、どうだった?」

「え?あ、久しぶりだったんで、どうなるかと思ったんですけど、やれる事はやりました…」

「いや、そっちじゃなくて…」

都築課長は出てきた、お寿司をつまみながら話をしてきた。

「…まぁ、あれだ。名取との事だよ」

「…っ、ゴホンッ…」

「大丈夫か?」

な、何?
なんで都築課長から、圭輔さんの話が…
急に話を振られ、食べていたお寿司が喉に詰まってむせた。

「……っ、ゴホンゴホン…だい、大丈夫です」

お茶を飲んで落ち着こうと思った。

「すまんな。あいつ、なかなか俺には話しないし、俺にバレてるとは思ってないみたいだからな」

「バレてるって、何がですか?」

「ん?あぁ、倉橋の事だよ。あいつ倉橋の事、好きだったからな、俺に気持ちバレてないと思ってるんだよ」

食事が喉を通らなくなってきた。あまりの恥ずかしさで…

「都築課長は知ってるって、どう言う事…ですか?」

「ハハッ、そりゃ分かるよ。俺が確信したのは3年前だけどな、多分その前からのはず、だな」

「…3、3年前って…」

「倉橋が人事部に、異動が決まった時だよ」

あれ、その時って、何かあったような…

「本当はな、倉橋。お前は人事部への異動はなかったんだよ。あのまま営業部だったんだ」

「…っ、え?それはどう言う意味ですか?」

食事の手が止まる。

「あの人事はな、係長を誰にするか、から始まったんだが、名取はお前を推したんだ」

「…私?私は、私を人事部にって言ったのが、圭っ…名取課長じゃ…」

「いや、違う。確かに、最終は人事部にって、話を持って行ったのは名取だがな。あくまで最初は倉橋を係長へって進めようとしてたんだ。だがな倉橋、会社がお前を潰そうとしたのを守ったのが、名取なんだよ」
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