私は強くない
結果、そして新たな
都築課長と食事しながら、話を聞かせてもらった。

戻ってきた時に、圭輔さんに声をかけられた。

「…都築、どこ行ってたんだよ」

「倉橋と昼メシだけど?」

「遅すぎないか?」

「遅い?時間内には帰ってきただろう?」

「時間内、って…」

「倉橋、お前も苦労するな」

「…っ、都築!」

圭輔さんと都築課長が同期だとは知っていたけど、こんな仲がいいとは知らなかった。

都築課長もこんな事が言えるんだ、あまり課の中では、くだけた感じでもここまで笑いをこらえながら話しているのを見たことがなかったから。

それは圭輔さんも同じだったけど。

「…倉橋、会議室行くぞ」

「ふふっ、はい」

都築課長にご馳走様でした、と頭を下げて圭輔さんの後を追った。

「…何食べてきたんだ?」

「お寿司です。美味しかったですよ、お腹いっぱいです」

「…っ」

「え?あっ…」

ぐいっと、手首を掴まれ、圭輔さんに会議室に引っ張られた。

ドンッ

「…っ、あ、圭輔さ…ん、誰か来たら…」

「ここには来ないっ…、結果は第一会議室だ、ん…っ」

ここ、会社なのに、圭輔さん。
いきなりキスをされていた。

少しして、肩に圭輔さんが頭を乗せてきた。

「…はぁ、あのな、心配かけさせるな」

「え?え?心配って…」

「木村が、都築と二人で出たって言うから、心配するだろ」

顔を上げようとしない、圭輔さんの頭を撫でながら

「浮気するとでも?」

「…ば、バカ、んな訳ないだろ」

「都築課長から、聞いてたんです。圭輔さんが、どれだけ私を思ってくれているか、って事」

「……っ、あいつ」

圭輔さん、可愛い。
男の人に言ったら怒られそうだけど。

少し、会議室で二人の時間を過ごしてから、第一会議室に向かった。

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