あの日のメロディー
抱えた思い

病院



教室を出た後私は急いで校舎を飛び出した。松延莉奈と言い合いをすることになるとは予想外。大分時間を無駄にした私は急いで電車に乗りバスに乗った。

バスに乗り20分ほどのところで
「次は国立国際大学病院前〜国立国際大学病院前でございます」
私はバスを降りた。

大きくて綺麗な立派な病院。ここは日本中で腕の良い医者が集められており、日本にまだほとんど着陸してない海外の最新医療器具なども充実されていると有名な日本屈指の国立病院。


私は"vip402 西城奏”と書いてある部屋の前で止まった。首にかけてたヘッドホンを鞄にしまい、長い髪の毛を手でとかす。

大きな深呼吸を1回する。

[ガラッ]
「奏〜遅くなってごめんね💦」

私は教室にいた時とは別人かのように明るく病室に入って行った。
しかし、返事はなにも帰ってこない。

ベットには綺麗な顔立ちをしていて管に繋がれて眠っている彼がいる。
私は笑顔で話しかける。反応はない。

「奏、もう高2の春だよ、、」

奏は2年前ある事故にあい、それからまる2年目を覚ましていない。脳挫傷。いわゆる“植物状態“というものだ。

「今年は冬が長くて暖かくなるのが遅かったから桜咲くのも大分遅れたんだって。ほら、窓の外見て!桜が綺麗に空を踊ってる、、」

窓の外にはひらひらと散ろうとしている桜の花びらが踊っているかのように見えた。
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