哀を抱えて愛されたい

初めて家を飛び出してこの公園に来たのは小学4年生の頃だった。
母との喧嘩。理由は覚えてないけれど、ひどい喧嘩をした。時間は21時を越していて、当時の門限は17時だったからか、一人で歩く夜の闇が恐ろしく感じると同時に、大きな孤独感が押し寄せて来たのを覚えている。
いつも遊んでいる昼頃のにぎやかな公園は、誰もいない静かな暗い公園に変わっていたけれど、葵は意地を張って公園のブランコに座った。
喧嘩での悲しい気持ちと、孤独感に、涙をポロポロ流しながら、母が迎えに来てくれるのを待った。
いつも遊んでいる家からすぐ近くの公園だから、きっと見つけてくれると思っていた。


結果として、母は来なかった。
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