重なるてのひら ~ふれあう思い~
「おはようございます………。」

朝から憂うつな気持ちで登校する。

本当なら、帰って直ぐにはぁちゃんとチョコを作って

先生の帰りを待つんだけど………

今日は、お昼に放送が待っている。

おまけに、お悩み相談がある時は

その日のうちにミーティングがあるから……遅くなるの。

だから、チョコは昨日のうちに作って包装しておいたんだ。

昨日堪らなくなって………

はぁちゃんに全部、ぶちまけちゃった。

先生を好きな子がいること。

チョコを贈ろうと思っていて、お悩み相談に手紙を出してきたこと。

とにかく嫌なこと。

それなのに応援しないといけないこと。

先生がどんな風に、受けとるのか気になること。

嫉妬する自分が嫌なこと。

…………と。

とにかく沢山話して……………泣いた。

だって…………悲しいんだもん。

聞いてくれるはぁちゃんは……

『私もいっぱい、そんな思いをした。
樹先生は、軽く見られて話しやすいから……よく告白される』って。

だから、私の気持ちが分かるって。

先生の彼女だって……言えないから……

卒業まで、ただ我慢するしかないって言ってた。

卒業までって……まだまだだよ。

そんなに我慢しないといけないんだ。

先生との恋愛が大変だとは…………想像していたけど。

それは隠さないといけない恋愛だからだろうと思っていたの。

でも本当に辛いのは………

私達が禁断の恋だから…………内緒だから。

先生を、誰でも好きになれて……告白できるってことだったんだ。
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