独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「本当に我が社の副社長はイケメンよね。目の保養になるわ。菜緒は副社長の大ファンだから、この台詞にショックを受けてたのよ」
そう言って梓が細い指で記者の質問の一部分を指差す。綺麗に手入れされたフレンチネイルが美しい。

【副社長の理想の女性について教えてください】
【理想の女性像というものは特にありません。大切な人がいますので、その方が全てです】
【それは想いを寄せる方がいらっしゃるということですか!?】
【大事な婚約者がいるんです】
【婚約なさったのですか!? おめでとうございます! どんな方ですか?】
【ありがとうございます。正式な発表はまだなのですが、近々皆さんにご報告させていただきたいと思います。彼女は利発で真面目で何よりもとても可愛らしい人ですよ】
【べた褒めですね!】
【ええ。人生の伴侶に彼女以外の女性は考えられないので】

これって……!
雑誌を食い入るように覗きこむ私に、梓が声をかける。

「ねっ、驚いたでしょ? イケメン副社長の婚約! 私も全然知らなかったのよ! 社内で公式発表なんてあった? この取材って随分前だと思うから、もう結納とか交わしてたりするのかしら? 副社長ってそれこそ有名女優から大企業の令嬢まで幅広いスキャンダルが過去にあったじゃない?」
私に話しかける梓の声が頭の中を素通りしていく。

「その誰とも関係をあっさり全否定していたでしょ? だから独身主義なんだって思っていたけどそうじゃなかったのね。婚約者がいたなんて! しかもこの内容からすると、婚約者を溺愛しているみたいじゃない? すっかり騙されたわ」
しばらくは騒がれそうよね、と梓は言う。
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