僅か30センチの恋

光よりもかなり遅く音が聞こえる
随分と遠くに打ち上がった
花火にさえもスズは目を輝かせた。

夏祭りが好きなスズにとって
その光景は胸が踊る瞬間なんだろう。

さっき伝えようと思っていた
言葉を飲み込んだ俺はスズの
質問に答える。

李人「まあ、夏だからな。
やってるんじゃない?」

模範解答のような返事をしただけなのに
突然、スズは笑い出した。

涼美「..ふふ。」

李人「何笑ってんだよ。」

涼美「懐かしいなって思ってさ。
高2の夏に、彼氏と花火大会行く
約束してたのに前日に振られて
リトと一緒に行ったよね。」
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