僅か30センチの恋

お昼休みになると多田さんと
共に屋上へと向かう。

多田「翔吾!」

振り返ったその人は
俺に軽く会釈した後
言葉を続けた。

翔吾「こんな所に呼び出して
どうした?」

多田「話したい事があるの。」

翔吾「...え?うん。何?」

隣に突っ立っている俺の方を
何度も見ながら彼は頷いた。

多田「私、翔吾の事が好き。
ずっとずっと世界で1番好き。」

彼は酷く戸惑っていた。
そりゃあそうだろう。
隣に俺がいるのだから。

だから、俺は
優しい多田さんの配慮に感謝しながら
勢いよく頭を下げた。

多田さんは最後の最後まで
本当に優しい人だ。
俺が頭を下げやすい様に
あえて弁解はせず
想いだけを彼に伝えてくれた。
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