僅か30センチの恋
聖夜「笑うなよ。」
李人「ごめん。でも、聖夜に
言われなくてもそのつもりだから。
つか、スズを手放したら
俺は多分一生、独り身だから。
その時は、俺の事笑ってくれ。」
聖夜「おお。思う存分笑わせて貰う。」
李人「聖夜も三谷さんとお幸せに。」
聖夜「りょーかい。」
思えば、学生の頃から
聖夜とこうして恋愛の話など
した事はなかった。
いつも聖夜になんで付き合わないんだよ?
としつこく聞かれる事はあっても
お互いがお互いに誰かの事を
想う気持ちを話した事はなかった。
ずっとスズへの想いを隠していた
俺のせいなのか、気恥しさから
自分の事は滅多に話さない
聖夜のせいなのかは分からない。
だけど、その時、俺は初めて
男の友情って存在するんだなと思った。
俺たちは間違いなく今
遅れてきた青春を謳歌している。