隣は何をする人ぞ~カクテルと、恋の手ほどきを~
「私にできないことは言わないって、知ってますよ」
「買いかぶりすぎだよ。……これから土曜日の夜、できるだけうちに泊まってくれないかな。欲を言えば金曜の夜も」
「でも……」
 
どちらも五十嵐さんは仕事で、帰りは深夜。機嫌良く出迎えることができるだろうか。

「もちろん起きてなくていいから。ただ、帰ってきた時に莉々子ちゃんの寝顔が見れたら、幸せなんだ」
「私も、朝起きたら隣に五十嵐さんがいてくれたら、幸せです」
「名前、また戻ってる」

あっと、唇を押えそうになった私の手を退けて、五十嵐さんは「まぁ、いいか」と呟きながら、キスをした。

まぁ、いいか。きっと、私達の時間はたくさんある。

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