僕ら死神の仕事
二章
あの殺害事件が終わってから1週間。

地上で見たニュースにはまともなものが書かれていない。

無差別殺人事件男性を最後に殺害止む。

もちろん凶器は僕が捨てたけど。

犯人の目星を付けていた警察にとってあの人が死んだ事はかなり大きな逆転だった。

犯人がまだ生きている。

現在も逃亡中と考えられていた。

愉快犯はまだ騒いでいる。

そのニュースだけを聞くと彼が何故最後笑ったのか全く検討もつかない。

悲しげに…僕を哀れむかのようなあの表情。

もし仲間がいたとして俺が死んでも意味はないと言うような感じでもなかった。

そればかりがここ一週間ぐるぐると僕の頭を回っていた。

あの笑った意味。

そしてニュースに書かれている間違った情報。

もちろん僕が回収した時の時間のズレは問題だろう。

元は射殺。

予測できるのは警察が捕まえる際に反抗をしたからだ。

死神の情報網はすごい。

警察の方では射殺許可が降りていたことも知っている。

もちろん死神は死を操る神と言われているがその原因を知るのも僕らの仕事だ。

僕は机の上の書類を適当に見ながらずっと考えている…

するとふざけた上…僕の上司が入ってきた。

「今日から入るやつだ。イサヨ、ゼロ、任せていいか?」

そんなことを言うけどどうせ拒否権なんてないんじゃんね。

このバカ上司は嫌いだ。

「はい。分かりましたよ〜」

適当に、本当に適当に答える。

「今日から入るシキト君だ。じゃああとは任せるぞ。」

「はーい。」

適当に返事をする。

あのアホ上司が部屋から出たところでイサヨがその人に話してる声が聞こえる。

僕も書類を机に置いてそっちを向くと…

「えっ…桐崎 色人?」

彼は僕のことを覚えてないようで…いやあの時はそう言えば違う体型だったからか。

「桐崎 色人(きりさき しきと)ですよろしくお願いします」とだけ一言いって腰を曲げる。

「え、知り合いなの。ゼロ。」

「知り合いも何も1週間前に僕が回収した魂の人だよ。」

またイサヨは「え…」と言って固まる。

「まさか回収部に来るなんて…」

「…スカウトされたので。」

そう一言だけ言う。

「仕方ないや。ちょっとまってて。」

僕は首元を切ってあの時の体になる。

「いったた…痛覚だけはあるのが腹立つなぁ。とりあえずこれで分かるでしょ?」

「あぁ…あの時の。死神だったんだ…」

元から口数が少ない方だとはあった時思ったけどここまでとは思わない。

「僕のことを恨んでたりしないの?一応覚えているだろうけど君をこっちの世界に来させた張本人僕だよ?」

「恨んではいない…むしろあの時に殺してくれてよかった。」

そんなことを彼は口にした。

「いやいや…ありがたがるのはいいけど普通なら恨むでしょそこは。」

そして色人はあの後のことを話した。

もちろんまず死神の牢獄に入れられたこと。

そして裁判にかけられたこと。

そして途中に死んだ母親に牢獄番の人が合わせてくれたこと。

そして死神に向いているとスカウト…というかならないかと聞かれたこと。

もちろん死神になるには条件がある。

地界に生まれた、もしくは地界に来た人間。

人を殺すことに何も感じない。楽しさも悲しさも。

回収をするために使う鎌を使えること。

もちろんナイフでもいい。

特別な奴らはいるが大半はそれが使えれば問題は無い。

他にもあるけどそんな所か。

もちろん色人は全て当てはまる。

問題は無いだろう。

でもまさか同じ回収部になるとは。

「まぁいいや。でもこれから一緒に仕事するんだしよろしくね。」

僕はそう言って腰をまげた。

まずは仕事についての説明をどんどんやっていったけど色人は嫌な顔せず進めた。
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