好きな人は先輩です。
カチカチとボタンを押すけど、傘は開く気配を見せない。



先輩は、私を傘に入れてその様子を見て察した。



「壊れた?」



『多分…』



どうして、さっきまでは普通だったのに。
しかもお気に入りだった傘。



『もう、最悪。』



「コレ使っていいよ。」



先輩は、差し出していた傘を私に持たせた。



『え、いや。悪いですよ。』



「大丈夫、俺こっから近いから。」



『いや、それでも・・・』



「それじゃ、また!」



『あっ…』



押し返そうと思ってたのに、先輩は私を無視して走り去ってしまった。



『そういう所がカッコイイんですよ、本当に。』
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