ワケあり同士による華麗なる政略結婚


「では、お先に失礼します。お疲れ様でした。」




帰る支度を終え、残っている店長と同僚に声をかけてから店を出た。















彼の部屋に越してから早1週間、自分が住んでいたアパートよりもこの職場からは少し距離があるが毎日歩いて帰っている。

電車やバスだと帰宅ラッシュに当たれば男性と密着することも多く、タクシーは男性運転手が殆どで2人きりで密室になるのが怖い。

少し時間はかかってしまうが、人通りの多い大通りを男性を避けながら帰宅している。





今日も無事、彼と暮らし始めたマンションに辿り着きホッと胸を撫で下ろした。


そして貰った合鍵で中へと入った。








「ただ今戻りました。」


そう声を掛けても当然返答はなく、静かな部屋。

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