執事の君に愛されて……
「零って、二重人格なの?」

私は、聞いて見たくて聞いた。

キョトン、とした顔をした零。

くっくっ、と笑い始めた零。

そして、意地悪に笑う。
「どっちの俺が好き?

執事の零は、好きではないですか?」

本当に、貴方は私をイタズラに甘くする。
どっちの零が好きなんて、そんなの。

「どっちの零も、私は、好きだよっ。
どっちも、零だよね?
でも、俺様執事は私だけに見せて欲しいな」

これじゃまるで、私が零を好きみたいな。

「やっぱり今のなし……っ」

ガタンッ

えっ…………?

私は、零に抱き締められていた。

零が、私を抱き締めたのは、数秒。
それがやけに長く感じた。

「抵抗してみろよ」

抵抗なんか出来ない。
だって、嫌じゃないんだもん。

零に触れられるの、嫌じゃない。

むしろ、満たされる。
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