大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
何度も頷く菜生を抱きしめようとした瞬間
家柄がどうとか、釣り合いが取れないとか、終いには菜生に俺を譲れとか言い出した女。菜生が俺の腕の中から抜け出し女の正面に立っていた。
「譲るってなんですか?奏はペットでも物でもないわ。あなたは奏を好きだとかお慕いしてますとか言いながら自分に釣り合うとか相応しいとか言って奏の外見しか見てませよね。確かに見た目はいい男ですよ。それを自分でもわかっていて次々と女を取っ替え引っ替えして、来るもの拒まないしサイテーな男で、前までは大嫌いでした。でも、一緒にいる時間が増えていくうちに、奏のいいところは顔だけじゃないって私は知っています。不器用だけど優しいし、意外と甘えん坊だし、見た目と違って豆だし、女にだらしなかった癖に、今は私一筋みたいですし、…結衣さん、諦めてください」
ひどい言われようだ…だが、嬉しくてこそばゆくもある。
「私、こんな侮辱始めてです。こんな屈辱を受けるとわかっていたなら、もっとあなたを懲らしめておくべきでしたわね」
やっと、暴露する気になってくれたらしい。
菜生には辛いだろうがそのまま、全部吐き出してくれと願っていたら、無意識の菜生の誘導に、怒りで油断したらしく出てくる、出てくる…