愛があれば、それで
でも、結花は結婚してお腹に子供がいる。
お互い、社会にでて、もう結花の相手はあたしが好きじゃない人になった。

だから、もう奪うこともないとおもっていた。
旦那にだって会うことはないのだから。



「結花ちゃんの代わりに産休代理できてもらうことになった、関菜美(せきなみ)さんだ」


「よろしくお願いします」



頭を下げながら、友人と同じ名前だなと思った。
頭を上げ、再び前を見るまでは。



「……っ」



みんながあたしに向かって、拍手をしてくれてる中、あたしの視線はひとりの男性に釘付けになった。



「本田透です。困ったことあったら聞いてね」



にっこりとあたしに向かって笑いかけてくれた。



「よろしくお願いします!」



本田さんに向かって、深々と頭を下げる。

本田さんの薬指には指輪。
たしかに既婚者だ

たしか、結花の家に行ったとき、本田と表札がかかっていたし。

それに、このあの日写真でみたときの胸の締め付けられ方と一緒だった。

この人だ。
あたしの好きな人。
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