愛があれば、それで

申し訳ない気持ち

「どうした、桜木」



急に桜木から、結花のことで話があると言われた。
本当なら、今頃関さんと会っていたのだが、俺はそれを断っていまここにいる。



「息、切らしすぎだろ」



走って現れた俺に呆れたように笑う。



「だって、結花の話っていうから」



結花のこととなると尋常ではいられない。



「そんな好きなのに、なんでするかねー。ほかの人と」



ポンっと俺の頭をメニューで叩く。



「断れないんだよ……って、お前なんで知って!?」


「バレバレだっての。相手もな」



誰にもバレてないつもりでいた。
桜木にも言ってなかった。
でも、いつも桜木にはバレてしまうから本当にかなわない。



「まぁ、それはいいんだけどさ。家でするのはさすがにないと思う」


「……は?」



確かに結花の入院中に家ではした。
でも、2ヶ月も前の話だし、誰にもそれは言ってないはずだ。



「ベッド下の奥から出てきたんだってさ。使用済みの袋が」



桜木の言葉にサーーーっと血の気が引いていくのがわかった。
< 37 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop