愛があれば、それで

悔しくて悔しくてたまらない

〝これから行くからまってて〟



22時。
つまらなく、そろそろ寝ようかなと思っていたところに本田さんから届いたLINE。

期待と不安に胸が騒ぐ。
もう桜木さんから聞いたのだろう。

どう思ったのか、あたしと今後どうしようと考えているのか。



──ピンポーン



物思いに耽っていると、きこえたチャイム音。



「どーぞ」とドアを開けると見えてきた好きな人の顔。
そして、その後ろにいる桜木さんの顔。



「え?桜木さんも?」


「明かさらまに嫌な顔しないでよね。証人になってくれって透に言われたからきてるの」


「そうですか。とりあえずどうぞ」



スリッパをふたつだして、彼らを迎える。

〝証人〟その言葉はどう考えてもあたしとの関係を続ける気はなさそうだ。

さっき考えた既成事実案件も桜木さんがいては決行ができない。



「お邪魔します」と入っていくふたりの後ろからついて行きながら、どうにかならないものかとずっと考えていた。

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