愛があれば、それで

誰を信じて誰を疑うのか

「結花!?なんかすごい声……」



風音のことを奪おうとする菜美から必死に守ろうとしていると、そこに透くんが帰ってきて慌てて走ってきた。



「関さん!?」



リビングにたどり着いて、あたしの向かいに立っている菜美に目を見開く。



「あら、おかえりなさい」


「いや、なんで君がここにいるんだ」



菜美の元に歩いていく透くん。



「本田さんの気持ちを伝えに来たのです」


「俺の気持ち……?」



怪訝な顔をして、立ちすくむ透くん。



「ええ、これまでの人と同じようにあたしのことを好きになって、あたしも好きになって。望むなら、風音ちゃんも引き取るってことを」


「……は?」



菜美の言葉にあたしに目を向ける透くん。



「あたし、風音だけは絶対に絶対に渡さないから!風音を渡すぐらいなら風音と一緒に死んだ方がマシ!!!!」



透くんに向けられた瞳に自分の瞳を合わせるのが怖くて、透くんから背を向ける。

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