一途な彼にとろとろに愛育されてます



瑠璃との話を終え、私は仕事を始めるべく制服に身を包んだ姿でホテルの一階を歩いていた。



瑠璃の言葉は耳が痛いけど、何度だって向き合ってちゃんと言ってくれるのはありがたいな。

それに応える行動を起こさなきゃいけないって、わかっているのに。



「おはようございます」

「長嶺さん、おはよー」



フロントのカウンター内に入り、先輩に声をかけ仕事を始めようと手元のパソコン画面に目を向けた。

仕事モードに頭を切り替えなくちゃ。今日の予約のお客様は……。



「あ、檜山くんだ」



ところが、先輩が口にしたその名前につい反応するように私は顔を上げた。

見ると、ホテルの入り口の自動ドアから入ってくる檜山の姿。



今日はネイビーのスーツで、いつも通り背筋の伸びた綺麗な姿勢で凛とした雰囲気を漂わせている。

見慣れた姿のはずなのに、目にするたびドキッとしてしまうのはどうしてだろう。



すると、そんな檜山の後ろからはひとりの女性が続いて入ってくる。


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