一途な彼にとろとろに愛育されてます



「そう。来週、社長の付き添いで海外に一週間」



海外……しかも一週間。

立花社長の付き添いとはいえ大変だ。



……ていうか。

あの飲み会の日のあとも、檜山は普通だ。

私を抱きしめたことなんてまるでなかったかのように、その話題には一切触れないし。

やっぱり酔ってただけで特別な感情はなかったのかも。



自分だけが翻弄されていて、悔しい。

その感情を飲み込むように肉じゃがを口に運ぶと、檜山はジロリとこちらを見る。



「俺がいない間誰かを招こうが構わないけど、同居がバレるようなことはするなよ」

「わ、わかってるってば……」

「それと飲みに行ってもいいけど飲みすぎないこと、あと夕飯も自炊してちゃんと食うこと。それと電気つけっぱなしは気をつけて……」

「もう!わかったから!」



子供じゃないんだけど!

まるで親のような口煩さに、話を途中で遮る。そんな私に檜山は『本当に大丈夫か』と疑わしげな目を向けた。


< 65 / 154 >

この作品をシェア

pagetop