一途な彼にとろとろに愛育されてます



「無口で近寄りがたいっていうのもあるけどさ、モテるだろうに彼女いるって噂もこれまで一度も聞かないし、プライベートも一切謎だし。住んでるところも教えてくれないらしいじゃん」



プライベート、住んでいるところ。それらの言葉に胸がギクリと嫌な音を立てる。

けれど私はそれを隠すように笑って平静を装った。



「まぁ、公私は分けてるっぽいですし。私とか同期に対してもそんなに話すタイプじゃないですよ」

「なーんだ。長嶺ちゃんからなら檜山くんのこといろいろ聞けるかと思ったのに」

「残念でした。所詮ただの同期ですから」



彼氏がいてもやはりイケメンのこととなると気になるのだろうか。

つまらなそうに口を尖らせる先輩に笑って流すと、私は制服のスカートを脱ぎ細身のパンツに履き替えた。


私と檜山はただの同期。それ以上でも以下でもない。

そう心の中で言い聞かせるように、何度も何度も繰り返しながら。




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