一途な彼にとろとろに愛育されてます

なにもわからずその場に立ち尽くしていると、自分の部屋の方からは電話が鳴る音が聞こえた。

電話……こんな時間から誰だろう。



不思議に思いながらスマートフォンを手に取り画面を見ると、そこには未登録の知らない番号が表示されていた。

誰だろう、もしかして職場の人？

通話ボタンをタップして電話に出た。



「もしもし」

『長嶺か。俺だ、立花だ。こんな時間に悪いな』



すると、電話の向こうから聞こえて来たのは聞き覚えのある立花社長の声だった。



「立花社長？どうして？」

『社員データで番号を調べさせてもらった。気になったことがあったからな』



気になったこと？

わざわざこんな時間に、しかも立花社長もさっき檜山に送られて帰って来たばかりだよね。

疲れているだろう時間に電話してくるほどの内容と思うとますます不思議だ。



『檜山もう帰って来ただろ。大丈夫そうか？』

「え！？なんで知ってるんですか！？」



なんで私と檜山が一緒にいることを知ってるの！？

驚きからつい大きな声を出してから、自分が認めてしまったことに気がついて「はっ」とくちをつぐむ。

そんな私に、電話の向こうからは小さな笑い声が聞こえる。