その悪魔、制御不能につき
自分で食べられたらもっと味に集中できるのに…頑なに社長が食べさせてくるのはなぜなのか。最初は拒否してたけどそしたらずっと食事にありつけないような気がして諦めた。
まぁ今私に必要なのは食事だし、この数日間で無駄にプライドを持つことが必ずしも良いことではないと実感したので大人しくされるがままに身をまかせる。
実際に絶対に嫌ってほど拒否感も嫌悪感もないし。まぁ何かしらの悪感情を持ってもおかしくないことされたとは客観的に思うけど…不思議と思わないのよね。ほんとに不思議と。
膝の上に乗せられた状態でせっせと口元にごはんを運んでくれる社長は客観的に見ていろいろアウトよねー、と思いながら最後にデザートとして置いてあったフルーツを食べてご馳走さまと手を合わせる。
準備は自分でしたが後片付けは誰かがしてくれるようで食器を水に浸すとすぐに私を抱きしめてソファーへと座る社長。この短い?間でこれが当たり前になっているのが怖い。
「そろそろ家に帰してほしいんだけど」
付き合うことは了承したのだからもういい加減ここに留まる理由はなくなっただろう。社長もそれで納得したのだから家に帰してほしい。そして休みたい癒されたい。
返事がないことに嫌な予感がして「聞いてる?」と声をかけてみるが振り返れば嫌そうな顔をした社長にこちらまでまさかと眉間に眉が寄る。
案の定ここに住めばいいとぬかしやがった社長に却下を速攻で下してなんやかんやありながらも無事に家まで帰してもらった。社長はものすごく不服そうだったけど私の知ったことじゃないわ。