その悪魔、制御不能につき



逃がすつもりがないとわかってはいても受け入れられないのが心情というものである。そこで私が何をしたか。単純に考えて私が社長の相手として相応しくないと思われればいいのだろうとあれこれしたけど……結果的に言えば全部効果なかったわね。


しかも失敗するたびに強制的に拉致されてその度に地獄を見た。それでも諦められないのは多分、それなりに私が社長のことを気に入っているからなのだと思う。それなのに社長と一緒になる選択がないのは私が意地を張っているからかしら…我ながら面倒な性格をしているわ。


となると最終手段としてはこれもありよね、と家に送られたものを見ながらちょうどかかってきた電話を手に取った。



「もしもし、お母さん?釣り書送られてきたんだけど」


『あら、もう届いたの?ごめんなさいねぇ、本当は叔母さんの友達の娘さんが受けるはずだったんだけど事情があってダメになっちゃったの。それが巡り巡って輝夜ちゃんに行き着いたんだけど…お母さんから断っておくか、』


「受けるわ、これ」


『ら………えっ?』



受けるの?本当に?と言う母親に受けることとその代わりこのことを家族以外の誰にも言わないようにしっかりといい含める。どこから情報が漏れるかなんてわからないけどとりあえずお見合いすればこっちのもんだわ。……多分。


今までそういったことにあまり積極的ではなかったのに急にお見合いする気になったことに少し不思議に思われたが「これで孫に会えるわね!」と喜びの方が上回ったらしく深く聞いてはこなかった。



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