あの時からずっと、君は俺の好きな人。
係の私は大会の準備にてんてこまい。すでに水着に着替え終わった水野くんと一緒に、記録員が着席するための椅子と机を運んでいた。

ーーおととい、私の部屋で自分の想いを彼に言って、号泣して。しかも彼の前で泣いたのは2回目ということもあって。

やはりなんとなく恥ずかしい気持ちがあったけれど、水野くんは至っていつも通りだったので、楽だった。

たぶん私のことを気遣って敢えてそうしてくれているのだろうけど。


「ーーいよいよだね」

「おー、昨日もタイムはいい感じだったし、マジで優勝狙おうぜ」


椅子と机を運びながら、そんな話を2人でする。

練習期間中ずっと、みんな本気で頑張っていたから、本当にいい結果になるといいな。

特に水野くんは係も選手もやってくれて。ーー私の止まっていた心も動かしてくれて。

水野くんが喜べるような結果になるといいな。

机と椅子を指定された位置にセッティングしながら、私は水野くんの整った顔をちらちら見て、密かにそんなことを思っていた。

ーーすると。
< 118 / 229 >

この作品をシェア

pagetop