あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「よし、じゃあ分かった」


するとパパが名案を思いついたかのように、明るい口調で言った。


「横浜についたら、何か欲しいもの買ってあげるよ」

「え……ほんと!?」


パパの言葉に、どんよりとしていた私の心が一気に晴れる。


「うん。準優勝のご褒美ね」


ニコニコして言うパパに、私も満面の笑みを返す。ママは額に手を当て、大袈裟に嘆息する。


「ちょっと! パパはいつも藍を甘やかしすぎよー!」

「いいじゃんかー、藍も水泳頑張ったんだし」

「そうだよー、ちゃんと私をお祝いしてよー」

「もうあんた達は! しょうがないわねー!」


そんな会話をしながら3人で笑い合う。大阪は楽しかったからもうちょっと居たかったけれど、そろそろ家も恋しい。

ママが作る美味しいご飯を食べて、パパと一緒にゲームをして。3人でテレビを見てくだらないことで笑って。

そんな時間が好きだった。何よりも大切で、私は幸せだった。

ーーしかし。
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