セカンド・プライオリティ

「ん…っ」

聞き慣れたアラームの音で目を覚ます。
一人では少し大きいセミダブルのベッドのどこかにあるスマホを探して手を動かすと、枕の下にそれを見つけてスヌーズボタンを押した。

「…ふあああ」

結局2度のスヌーズの後にベッドから起き上がり、細く外の光が差し込む窓際のカーテンをゆっくりと開く。快晴というわけではないけれど、雨は降っていないようだ。

体の前で組んだ両手を大きく上へ動かしながら、全身を思い切り伸ばしていく。
少しだけ寝起きの気だるさがすっきりとしたところでリビングに続く扉を開くと、ソファの背もたれに掛けられた綺麗に畳まれたブランケットが目に入った。

「風邪、引いてないといいけど…っは、はっくしゅん!」

彼のことを考えながらこぼれた台詞を遮るように響いたのは、自分の口から出た大きなくしゃみ。

「人の心配をする前に、自分の体調管理だな」

なんだか情けなくなって自嘲気味に呟いた言葉が、静かな部屋の中に虚しく響く。
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